トップボールが出る原因!
高く舞い上がったボール…、美しい弧を描いてグリーンオン。これぞゴルフの醍醐味ですよね。そんな美しい球を打つはずが、低く飛び出すボテボテのゴロに。これはアマチュアゴルファーがよくするトップボールというミスです。
トップボールとは、ボールの上部を打ってしまうミスです。ゴルフボールはフェースの芯に当てることで、スピンがかかってボールが高く上がり、自分の思い描いた飛距離を打つことが出来ます。トップすると球が上がらずゴロのように転がって距離がでないことや、ハーフトップ気味に当たると逆にライナーで飛び過ぎて大きなトラブルの原因となることもあります。
今回は、ゴルフでよくあるミスであるトップボールが出る原因について考えてみたいと思います。
トップボールの原因としては、様々な要因が考えられます。原因は一つではなく、複数の要素が絡み合っている場合もあります。でも一つ一つの原因を理解して、自分に当てはまるものを特定していくことが改善への道です。ここではアイアンショットにおけるトップボールの5つの主な原因にについて解説します。
①ボールの見方が良くない!
アドレスでは、スタンスの向きや幅、グリップの握り方、前傾角度など、注意すべき点がたくさんあります。その中で、アドレスでのボールの見方について考えたことはありますか?多くのアマチュアゴルファーは漠然と上から見ているだけなのではないでしょうか。ゴルフボールは小さいですから、漠然と眺めてもボールの全体が視野に入りますが、実はこの時、意識はボールの上部に行きやすくなっています。視線がボールの上部にあると、無意識のうちに体もボールの上部に合わせるように動いて、トップボールが出る確率が高くなってしまうのです。
ゴルフは微妙なことで大きく結果が変わるスポーツです。特に視覚から入る情報は大切で、体の微妙な動きに思っている以上に影響があります。ゴルフボールのどこを見るかでスイングも変わってくるのです。それでは、スイング時に視線をどこに持っていけばいいのでしょうか。それはクラブフェースがコンタクトするボールの横の部分です。
まず、頭の中でボールを半分にしてください。そして、その右半分に意識を集中させて見てください。小さなボールですが、視線をボールの側面に集中することで、正しいインパクトを迎えることができ、トップボールを防ぐことができます。ただし、あまり凝視して上半身に余計な力が入ってしまうと別のミスを誘発することがあるので注意してください。
②すくい打ちをしてしまう
アマチュアゴルファーのトップの原因の多くは“すくい打ちで”す。“すくい打ち”とは、ボールを高く上げたいという意識が強すぎて、クラブヘッドでボールをすくい上げようとする動きをしてしまうことです。
高いボールを打とうとすると、無意識にボールの下にクラブヘッドを入れようとしてしまいます。そうするとクラブの最下点がボールの手前になりやすく、そこからすくい上げる動作を加えてしまうのでボールの上部にクラブヘッドが当たることになります。その結果として、当然にトップボールが出るのです。また、逆にダフリのミスも多くなります。
プロや上級者は、ダウンブローにクラブヘッドを入れるのでクラブの最下点はボールの先になります。よくテレビのゴルフ中継で、プロがアイアンショットでボールの先のターフをごっそり取っているのを見ることがあると思いますが、これはダウンブローに打っている証拠です。
ゴルフクラブはロフトなりにボールをしっかり捕らえれば、球が上がるように設計されています。緩やかなダウンブローで打てれば、ボールを上げようとする動作は必要ありません。ボールは自然と高く上がってくれるのです。
ボールを上げようとする意識が強く、クラブヘッドが鋭角に入れてすくい上げる動きになるとインパクトは点になります。点で捕らえる必要性が強くなると当然にミスの可能性が増えてしまいます。トップボールはもちろん、その他のミスの確率を減らすためにも、緩やかなダウンブローでボールを捕らえるようにしてください。
ダウンブローの練習としては、ボールの一個分飛球線側に仮想のボールがあると想定してそのボールを打つ方法があります。特に初心者はヘッドをボールの手前に入れてしまう傾向が強いので、ボールの先の仮装ボールを打つことで丁度よいクラブヘッドの軌道を体感することができます。また、ハーフショット気味のパンチショットを練習するのもいいでしょう。パンチショットはクラブフェースの開閉を極力抑えてハンドファーストでボールを捕らえる打ち方です。ダウンブローにヘッドが入らないと正しく打てませんから、パンチショットの練習はダウンブローの感覚をマスターするのに効果的です。
③体重が右に残る!
次に考えられる大きな原因として、スイング中の体重移動が正しくできず、体重が右に残ったまま(右利きの場合)スイングしてしまうことが考えられます。体重が右に残るとどうしてもクラブヘッドの軌道が、ボールの手前にズレてしまいます。結果として、クラブヘッドがすくい打ちと同じ動きになりトップボールが出てしまうのです。
体重が右に残る主な原因としては次の2つが考えられます。
1)バックスイング時に左足に体重が残っている
テイクバックからトップにかけて右足に体重が乗っていかず、左足に体重が残っていると、ダウンスイングで右足に体重が乗っていきやすくなってしまいます。この現象は正しい体重移動とは真逆の動きで、リバースピポットと呼ばれます。俗に言う「ぎったんばっこん」です。リバースピポットを防ぐには、まずテイクバックでしっかり右足に体重を乗せていく意識を持つことが大切です。グリップを少しフックグリップにしてみたり、テイクバックをややアウトサイド気味にあげることで解消されることがあります。
2)インパクトで上半身を右に残す意識が強すぎる
インパクトでは上半身、頭がボールの右に残ることが望ましいと言われます。しかし、球を上げたい意識が強すぎる場合や、インパクト時のビハンド・ザ・ボールを意識しすぎると体重が右足に残ってしまうことが多くなります。また、トップで重心位置を右に移動しすぎている時も体が戻り切らないことがあります。よくスイング時には頭を残せ!ボールの右側を見て打て!と言われることがあるので、過度に意識してしまう人が見受けられますが、意識が強すぎると体重が右に残るので注意しましょう。
3)すくい打ちをしてしまっている
すくい打ちをしてしまっている時は体重が右に残りやすくなります。すくい打ちをするから体重が右に残るのか?体重が右に残るからすくい打ちになるのか?これは、どちらが先ということはなく、お互い関連しあって起きる現象です。すくい打ちの対策については先ほどご紹介した方法を参照してください。
④体が伸び上がる!
スイング中に体が伸び上がる動きをしてしまうとトップしやすくなります。ゴルフのスイングにおいてはアドレスで作った前傾姿勢をキープしたまま振り抜くことが理想だとされています。この前傾姿勢がキープできず、途中で伸び上がってしまう結果、クラブヘッドのスイング軌道が上方にズレることでトップボールが発生するのです。
背筋を真っすぐに伸ばして、足と腰の付け根から前傾するのが正しい前傾姿勢です。背中や腰を丸めて猫背のように前傾している方がいますが、これではますます体が伸び上がりやすくなってしまいます。正しい前傾姿勢を意識しながらスイングするよう心がけましょう。
体が伸び上がる主な原因には次の3つが考えられます。
1)前傾姿勢がキープできていない
前傾姿勢がスイング中に変わらなければ体が伸び上がることはありません。ただ、アマチュアゴルファーにとって前傾姿勢をきちんとキープするのは難しいものです。大きなミスに繋がらない程度に伸び上がりを最小限に押さえて、前傾姿勢をキープするようにしてください。前傾姿勢を維持するポイントは下半身です。下半身の踏ん張りで前傾をキープするイメージです。特にテイクバックで右膝の力が抜けて緩んだ場合に前傾姿勢が崩れやすくなるので注意しましょう。また、いつでもどこでもできる練習として、壁に頭をつけたまま素振りをする練習方法も前傾姿勢をキープする感覚を養うには効果的です。
2)体が正しく回転していない
切り返しからインパクトにかけて、左腰が主導で体が回転することがゴルフスイングにおいては重要です。この体の回転が正しく行われていないと、腰が左に大きく動くスエーになり、体が伸び上がってしまうのです。
正しい体の回転をするための練習法としては、両足を揃えてスイングすることをおススメします。スタンスが狭いと回転しやすくなるので、スエーせずに体を回転させるイメージが付きやすくなります。そこから徐々にスタンス幅を広げていく練習が効果的です。
3)ボールの行方を追ってしまう
プレッシャーがかかるショットほど、ボールの行方が気になるものです。インパクト後にすぐボールを追ってしまうとヘッドアップしてしまい、体も起き上がりやすくなります。体は正直ですから、目線が上がると体も伸び上がってしまうのです。
ヘッドアップ・ルックアップについては、この後、詳しく説明します。
⑤ヘッドアップ
様々なミスの原因として、よく指摘されるヘッドアップもトップボールの大きな原因の一つです。インパクト時に頭がターゲット方向に向いてしまったり、頭を上げてしまうヘッドアップは、体が伸び上がる原因となりますし、すくい打ちのクラブヘッド軌道を誘発します。スイング中はなるべく頭を動かさず、ボールをよく見て打つというのは、ショットの基本ですから、ほとんどのゴルファーが認識しているかと思います。でも、どうしてもボールの行方が気になるので、本能的にショットしたボールを追ってしまうのです。特に、プレッシャーのかかる大事なショットほど、ボールを追ってしまいがちです。また、ボールを飛ばしたい思いが強く、フルパワーでスイングすると、クラブの遠心力などによりヘッドアップしやすくなります。
ヘッドアップを修正するにはボールをしっかり見続けてさえいればいいだけです。簡単そうに思えますが、人間の体は些細なことに反応するので、そう簡単ではないのです。ヘッドアップの防止法としては次の3つが考えられます。一つずつ見ていきましょう。
1)右腰の前方移動を防ぐ
ダウンスイングで右腰が前方に移動すると自然と状態が起き上がり、ヘッドアップしやすくなります。これはスイング時に体の回転を意識しすぎた時に起きる現象です。正しい動きは腰がその場で回転するイメージです。お尻を壁や椅子などに当てて前方移動しないように回転させる練習が効果的です。
2)上半身はできるだけリラックス
特に飛ばしたい時など、上半身に力が入ってしまうとスムーズな回転ができず、クラブの遠心力も手伝ってヘッドアップしやすくなります。ゴルフにおいて上半身はできるだけ脱力することが望ましいと考えられています。上半身はできるだけリラックスして、下半身主導で体を回転させる意識を持つことが大切です。
3)しっかり体重移動、右足の裏をめくらず粘る
しっかり体重移動をすることも、ヘッドアップを防ぐためには大切です。トップからインパクトにかけて左足にしっかり体重移動しながらも、右足の裏がめくれるのを極力抑え、粘ったスイングをすることで、ヘッドアップは防ぐことができます。体重移動しながらも右足に意識が残ることによりヘッドアップの動きになりにくく、インパクトを迎えることができるのです。ただし、右足に体重が残った右足重心のスイングにならないように注意してください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回はアマチュアゴルファーのミスとして頻度高く発生するトップボールについて解説しました。トップがでるとスコアがまとまらないだけでなく、打感が悪く気持ちいいものではないので、その後のスイングのリズムも悪くなりがちです。それではラウンドも楽しくありませんね。今回ご紹介したトップボールの原因と対策を参考にして思い通りに高く舞い上がるナイスショットを連発してください。それでは、さらに楽しいゴルフライフを!