入れるパッティング!
パターは14本のクラブの中で、一番使うクラブです。パット数がスコアに占める割合は半分近くになります。それほど重要なものでありながら、この重要性をわかっていない人が意外に多いのが実際のところだと思います。
なかなか100を切れないアマチュアゴルファーでも、パッティングを改善すれば、5打ぐらい簡単に縮めることができるはずです。
ラウンド後に、あの時あのパットが入っていれば、と悔しがることが少しでもなくなるように、これからはパットにも注意を向けて練習していきましょう。
特に1m前後のショートパットは、はずすとがっくりきますので、確実に決められるようにしたいですね。ショートパットは、ちょっとした意識の持ち方と簡単な練習の繰り返しで、確実に改善されます。
300ヤードのドライバーショットは無理でも、パッティングなら体力がないアマチュアでもプロ並みにすることはできます。どちらも1打に変わりはありません。
初心者はドライバーで思い切り飛ばしたい、と思う気持ちが強すぎて、どうしてもドライバーや長いクラブの練習に時間をかけてしまいます。どちらも同じ1打なのですから、すぐに改善できるパッティングの技術を磨きましょう。いいスコアに直結します。
では、しっかりと入れていけるパッティングのコツを、これから紹介していきます。
1.芯を外さない
まずは、パターの芯でボールをとらえるということです。
パットが下手な人は、ボールの当たる位置が一定せず、芯をはずして打っていることが多いのです。短い距離を打つパターで、芯を外すなんてありえないと思っているかもしれませんが、意外にできてないものです。
なぜ芯を外してしまうのでしょうか。大きく2つの理由があります。
①パッティングの時に下半身が動いてしまっている。
②パターを手先で操作している。
パッティングの時に下半身を動かすと、アドレスの位置にストロークできないため、ずれた場所にボールが当たります。
これを改善するためには、まずアドレスをしっかりと安定させましょう。スタンスは肩幅より少し広いぐらいにして、重心を足の親指の付け根あたりに置き、動かないように固定する意識を持ちます。ボールを打った後も、しばらくはそのまま動かさないで止めておくようにしてください。こうすれば、パッティングの時に下半身が動いて、パッティングでずれるということを防ぐことができます。
パターを手先で操作すると、一定の場所で打つことが難しくなります。特に手首をこねる動きをすると、フェースの向きが安定しなくなります。
手首は構えた時の形をロックしてそのままの状態をキープします。腕の形もできるだけアドレスの状態をキープし、肩を上下に動かすことでストロークします。距離感は振り幅で調整していきます。
この打ち方ですと、フェースの向きが変わらずに打てるので、毎回しっかりと芯でとらえることができます。プロや上級者のほとんどが、このショルダーストロークという打ち方でパッティングをしています。
慣れないうちは、手を使いたくなってしまうので難しいかもしれませんが、練習を繰り返して身につけてください。実際にボールを打たなくても、パターを手にして素振りを繰り返すだけでも効果があります。
2.目でボールを追わない
ショートパットを外してしまう一番の原因は、打った後すぐにボールを追って見てしまうことです。
入れたいという気持ちが強いので、ボールの行方が気になるのは仕方がないのですが、ボールを追って見ようとすると、打つ前に身体が起き上がってしまいます。するとストロークするヘッドの軌道が変わってしまって、ヘッドに正しくボールを当てることができないのです。
まず、打球が入ったか入らなかったかを気にせず、カップを一切見ないでパッティングする練習を繰り返し行ってください。
「カップインの音を左の耳で聞く」というゴルフ格言もあるほど、頭を上げずにパッティングするのは大切なことだと意識しましょう。
家でやる練習のやり方として、ボールの下に目印を置いてパッティングをするという方法があります。パッティングしてボールを打った後も、ボールの行方を見ずに目印を見続けるのです。
頭が動かないように誰かに手で押さえてもらって、パッティングの練習をするという方法もあります。
ショートパットでは、頭の位置を変えずにストロークするだけで、入る確率がぐんとアップします。
可能であれば、パッティングのフォームも一度ビデオで確認してみるといいでしょう。自分で思っているフォームとは、かなりギャップがあると思いますが、定期的にビデオチェックをすると、格段にフォームがよくなります。
ストロークの時は、カップに入れることよりも、パターの芯でとらえることや、フェースの向きをスクエアにすることに集中するといいでしょう。ショートパットは、フェースの向きがスクエアなら芯で打てれば、だいたい入ります。結果よりもその過程をしっかりやることに集中しましょう。
こうしたことはコースでいきなりやろうとしてもできないので、普段の練習からこうした意識でやっていくと、コースでいい結果を出すことができます。
こうした地味な練習を積み重ねていくと、確実にショートパットが入る確率が上がりますので、ぜひ続けていってください。
3.インパクトを緩めない
アマチュアゴルファーのパッティングでは、インパクトが緩んでミスパットになっているケースはよくあります。
これは、テークバックから打ちにいくときのストローク中に力を加減してしまうために発生します。特にテークバックが大きい人にありがちです。
ロングパットでは大幅にショートしてしまい、ショートパットでは打ち切れずに途中で止まってしまう。本人はしっかり打たなきゃと、わかっていてもなかなかできないのが、やっかいなところです。
なぜこうした現象が起きるのかというと、テークバックから打ちにいくときに、強くなりすぎるんじゃないかと不安になってストロークのスピードを緩めてしまうためです。
ボールに向かって減速しながらインパクトしているので、ぶれてしまって方向性にも狂いが生じることになります。結果を気にしすぎるという心理的な要素も強く表れています。
インパクトで緩まないようにパッティングする練習として、テークバックを小さくして打つということをやってみてください。パッティングがうまい人は、たいがいテークバックよりもフォローのほうが大きいです。小さめのテークバックで距離を合わせられるように、ストロークのスピードを一定にしながら調節していきましょう。
もう一つの練習は、インパクトでヘッドを止めて打つということです。ストローク式ではなく、タップ式で打ってみましょう。こうすることで、ヘッドをスクエアにして打つことに集中しやすくなります。人によってはストローク式よりも、このタップ式のほうが距離感を合わせやすいという場合もあると思います。
タップ式のほうが小さな動きでボールを打つので、緩みにくいです。どうしてもインパクトで緩んでしまって、距離が合わないという人は、ぜひ一度タップ式のパッティングを試してみてください。
4.一定したルーティーンを作る
プロは、グリーン上で毎回同じような行動、いわゆるルーティーンを行ってからパッティングをしています。
ルーティーンには下記のような効果があるといわれています。
①毎回同じように構えることができる
②集中力が高まる
③いつものリズムでストロークできる
④緊張を和らげる
私たちアマチュアゴルファーも、この点はぜひまねしていきたいポイントです。
グリーンでやることは、傾斜を見る、距離を測る、カップまでのラインをイメージする、素振りをする、構える、打つ、の6段階の作業です。
これを一連の流れで毎回同じようにやるというのが大切で、たとえば素振りは2回やったら構える、としたら、なるべく毎回2回で構えに入るようにします。
どうしても入れたいパットだと、いつもは2回なのに3回も4回も見てしまうことがありますが、できれば回数に決めたら、それを崩さずに、いつものルーティーンとして行ったほうが結果はいいようです。
緊張する場面では、なるべくいつもと同じように、淡々とした感じでプレーするほうがいい結果につながりやすいです。いつもと違うことをやると、妙に緊張感が高まってしまいミスになりやすいのです。
ある程度、ラウンド経験を積んで、コースでプレーすることに慣れてきたら、なるべく時間を無駄にしないでルーティーンを行うように考えてプレーしましょう。
たとえば、グリーンに乗ったら、すぐにパターを持って早めにグリーン近づく、ボールを拾いながら傾斜を見る、同伴者がグリーンを読んでいるときに、自分の番の準備をしておく、自分の番になったらシンプルな形でルーティーンを行いパッティングに入るといったことです。
たまに、ひとりだけやたらと時間をかけてルーティーン行動をやっている人がいますが、毎ホールやっていると同伴者に嫌がられますので注意しましょう。
5.ラインを掴む
グリーン上でパッティングする際に考えることは、「方向性」と「距離感」です。この2つを掛け合わせて、ボールを転がすラインを想定するのですが、初級者や中級者の場合、どちらかというと「距離感」を優先してパッティングしていくのがいいでしょう。
なぜかというと、初級者や中級者では、グリーンに乗ってもロングパットになるケースが多いからです。
ロングパットでは、方向が多少ずれていても近くまで寄せていけば、次でカップインできますが、距離がずれていれば、なかなか入れることができないからです。ですから初級者・中級者はまず距離感を掴む練習を優先してください。
おすすめの練習法は、パット練習のマットで打つ時に、カップに入れるのではなく、カップの手前で止める練習です。これを繰り返すと、距離に対してどう打てばいいかの感覚が養われていきます。
アマチュアにとって難しいのが、3~5mのパットです。距離を合わせながらも入れにいきたいという気持ちがあるからです。傾斜と距離を頭に入れてラインをイメージして、それを実際にパッティングしてイメージ通りに打つというのは、難易度の高い作業です。
目で見た情報を脳に伝え、脳内で解析して手に指令を与え、道具を使って実行する。これは人間にとって、相当に高度なことだということを理解しておきましょう。
あまり欲張ると結果はよくありません。しっかり寄せることができればOK、入ればラッキーぐらいに考えていたほうが、意外にうまくいくものです。
ラインをイメージするためには、傾斜をいろいろな角度から見ておくとわかりやすいです。傾斜を見るには、グリーンに近づきながら全体の傾斜を見る、ボールからカップのラインを見る、反対側からも見ると、いうように、あらゆる方向から見ておくといいでしょう。
ある程度傾斜がわかったら、あとはボールが転がるスピードを加味して、ラインをイメージしていきます。そして打ち出しの強さを考えて素振りをし、ライン上に仮想の目印をつけて、そこに向かってパッティングしていきます。
パッティングの感覚は経験がものを言うところもありますので、ラウンド中はこうしたことを意識してパットをしていきましょう。
まとめ
パッティングはスコアに直結する技術です。しっかり練習していけば、確実にスコアがよくなります。ふだんからパターを手に取って素振りをするだけでも、毎日続けてみてください。
そして実際にコースでプレーするときには、いくつかのポイントに注意しながらパッティングしてみてください。やっているうちに、パッティングの感覚が身についていくはずです。
パターが得意クラブになれば、ゴルフはずっと楽になります。パター名人を目指して毎日練習していきましょう。