グリーン近くまで来て、「よしここでベタピンにつけてやる」と狙って振ったところが、ペチッという変な音がして、打球はとんでもない方向に飛び出してしまう。一瞬何が起こったのか分からず混乱するが、すぐに「シャンクだ!」と気が付く。こんなことは、ゴルフをやっていると、一度や二度は経験があるのではないでしょうか。シャンクはなんの前触れもなく突然発生し、しかも確実に1打損しますから、けっこうショックですよね。グリーン周りで発生することも多いので、そうなるとさらにガックリきます。
この記事では、シャンクの発生原因とその治し方について、具体的に詳しくご紹介していきます。これまでシャンクに悩まされてきた人も、その悩みから解放される日が来るかもしれません。ぜひ最後まで読んで、シャンクの悩みからさよならしましょう。
はじめに
プロアマ問わずに発生するシャンクは、ゴルファーにとって、やっかいな悩みのタネです。一度発生すると、「シャンク病」という言葉もあるように、その後もまた何度も出てしまうことがあります。もしそうなってしまうとどうしていいのかわからず、迷いながらのスイングになるので余計にシャンクが出てしまいます。
シャンクは、その人のアドレスのバランスやスイング軌道、身体の使い方など、様々な原因で発生します。しかし、人によってだいたい同じ原因で起きているので、もしシャンクが出た場合にどう対処すればいいのか、その解決方法を身につけておくといいでしょう。
まずは、シャンクが発生する理由を理解すること。そして自分に当てはまる原因が何かを見つけ出し、その対処方法を身につけていきましょう。
シャンクとは
そもそもシャンクとは、現象としてどのようなことが起きているのか。まずはここから確認していきましょう。
シャンクが発生するときには、インパクトの瞬間にボールがアイアンのフェースにきちんと当たらず、クラブヘッドとシャフトの接合部分のネック近辺(ホーゼル)に当たってしまっています。
ホーゼル部分は、フェースのように平面になっておらず、シャフトとのつなぎ目で丸く内側に向いているため、当たるととんでもなく右に飛び出してしまうのです。
打球面ではないので、当たった感触も悪く手に響く感じで、打音もペチッという変な音がします。
シャンクが起きる原因
では、なぜシャンクが起きるのか、詳しくその発生のメカニズムと原因を探っていきましょう。原因がわかれば、その対処法も自ずと見つかってきます。
①フェースの開き
シャンクが発生する一番の原因は、フェースの開きです。ダウンスイングで開いた状態のままインパクトを迎えると、フェース面よりもネック部分のほうが前にあるため、ネック部分に当たってしまうのです。
ウェッジで寄せのショットを打つときにシャンクが起こるのは、ボールを上げてやろうとフェースを開いて手元が浮いてしまうことが原因です
また、右肩が突っ込んでしまう人も、インパクト時にフェースをアドレスのときよりも開いた状態で迎えてしまうので、シャンクが起きやすいです。
フェースの向きがどうなっているのか、練習の時から意識しておきましょう。
②アドレスの姿勢
シャンク発生のもう一つの大きな原因が、アドレスの姿勢にあります。ボールの位置が身体に近すぎるなどの理由で前傾が浅くなり、かかと体重になっていることが問題です。そのアドレスの姿勢のまま打てれば大丈夫なのですが、打ちにいくときには、かかと体重では打ちにくいので、どうしてもつま先側に重心が移ります。
するとインパクト時には、アドレスしたときよりもフェースのネック寄りにあたってしまうのです。それがフェース面よりさらにネック側に寄るとシャンクになります。
アドレスの姿勢はインパクトで再現できるものでなければなりません。アドレスはゴルフの基本中の基本ですので、まずはここをしっかりと作っていきましょう。
上級者にチェックしてもらったり、自分の映像を見て確認することも有効です。
③右膝が前に出てきている
ダウンスイングで右膝が早く前に出てくると、クラブの通り道がなくなり、軌道が外側に出てしまいます。するとインパクトのあたりでは手が身体から離れて動き、ヘッドが遅れてフェースが開いた状態になって、シャンクしやすいのです。
また、ウェッジでふわっと上げてやろうとすると、下半身が緩んでしまい、右膝が前に出てシャンクすることもあります。
ダウンスイングで右膝が前に出てしまうクセがある人は、左膝に寄せながら打つか、なるべく下半身の動きを制限して打つ練習をするといいでしょう。
④手元が離れて当たる
インパクトで手元が離れているためシャンクが出てしまうケースがあります。インパクトでアドレスの状態を再現できればいいのですが、腕の力で振るクセがついてしまっていることで、どうしても体の回転よりもヘッドが振り遅れるようになり、フェースをアドレスの位置に戻しきれないのです。腕の力にだけに頼らず、身体の回転としっかり同調して打つ練習が必要です。
⑤軌道が極端なアウトサイドイン、インサイドアウト
スイング軌道が極端なアウトサイドインやインサイドアウトの場合も、シャンクが発生しやすくになります。
極端なスイング軌道では、ネックからボールに向かっていきます。しっかりフェースが返らないとネック付近に当たってしまいシャンクになるのです。
しかし、こうならないように手で操作しようとすると、方向性を出すのがかなり難しくなります。極端な軌道はミスにつながりやすいので、少しずつでもオーソドックスな形にしていくほうがいいでしょう。
⑥疲れ
ラウンド前半ではなんともないが、後半になって疲れてくるとシャンクが出やすいという人は比較的多くいます。疲労によって正しいスイングができなくなっているため、こうした現象が起きるようです。集中力がなくなって、手打ちになったり、アドレスの形がいつも通りでなくなることが原因です。
後半が始まる前に、自分のフォームやアドレスをしっかりチェックしてからスタートしましょう。ストレッチや軽く体操をして体を動きやすくすることも効果があります。後半になると慣れが出てきて雑なプレーにつながりやすいので、基本通りにプレーすることを心がけましょう。
シャンクの治療法
シャンクが出やすい人は、今一度自分のスイングをみなおす必要があります。シャンクの原因を簡単に言えば、スイングの軌道に問題があることです。ダウンスイングからインパクトに向かうときに、クラブのヘッドがアドレスの位置に戻らず、ネック部分に先に当たっています。根本的な治療法としては、スイング軌道と身体の使い方を正しく身につけることです。
フェースが開いた状態でインパクトを迎える人の大きな原因は右肩や右膝が突っ込んでいることですので、ここを意識してスイングするようにしましょう。
アドレスの姿勢は、ゴルフ上級者やインストラクターに一度見てもらうか、自分の映像をチェックすることで、直していくことができます。
もし可能であれば、ゴルフスクール等で自分のスイング映像やデータをとってもらうと、客観的な分析と対策ができるようになるのでおすすめです。
基本的な練習として昔からよくやっている方法は、両足をそろえて素振りをしたり、ボールを打ったりする練習です。足の余計な動きを抑え、手元とクラブヘッドがきちんと同調する感覚がつかみやすいです。この練習はシンプルですが、非常に効果があるので、身体の各パーツの動きや感覚をしっかりと把握して繰り返しやっていきましょう。
シャンクが出た時の応急処置法
ここまでシャンクが起きる原因と治療法について説明してきました。
もしラウンド中にシャンクが発生した時の応急処置としてできることをあげていますので、ご覧ください。シャンクが出たとしても慌てず対策法を考えていきましょう。
①ダウンスイングでグリップを体に引きつける
スイングのときにグリップが身体から離れていると、手が先行してヘッドが遅れてインパクトに向かう振り遅れの状態になります。これはフェースが戻りきらず開いたままインパクトすることになりますので、シャンクの原因となります。
ダウンスイングでは、グリップが遠心力の影響で身体から離れることがないように意識して、身体の回転と手の動きを同調させるようにしましょう。
このためには、右打ちであれば左手の使い方が重要になります。左手の小指・薬指・中指の三本をしっかりと握り、ダウンスイングではグリップエンドを地面に向かって引きつけるように降ろしてきます。そして、身体の回転と合わせて左手をロールすることで、フェースをアドレスの位置に戻してインパクトすることができます。
腕の力に頼らず、身体と一体化して振れるといいスイングになります。
②ボールの位置をチェック!
シャンクが出た時は、アドレスしたときのボールの位置をチェックしてみましょう。近すぎてもよくないし、離れすぎても問題があります。ダウンスイングでグリップが身体から離れないで打てるボールの位置になるように今一度確認してみましょう。
少し近づいたほうがうまく振れる人もいるでしょうし、今まで近すぎたので離してみたほうがいいという人もいるでしょう。アドレスの形を再現してインパクトできるボールの位置をしっかりと把握しておきましょう。
③使用クラブを変えてみる!
ラウンド中にシャンクを連発してしまい、どうしたらいいかわからなくなった場合には一旦気持ちを切り替えて、違うクラブを使ってみるというのも一つの対策法です。
続けてシャンクが出ると、またシャンクしてしまったらどうしようと思って委縮してしまいさらに続けてシャンクになるということがあります。ゴルフではメンタルも重要なスポーツですので、まず気持ちを落ち着かせることです。
どうしてもシャンクな止まらない場合は、いつもとは全く違ったクラブを使ってみるのも手です。残り距離よりも長めのクラブを使って軽く打つとか、グリーン周りではなるべくパターを使うといったことです。
本当に応急処置でその場しのぎですが、緊急事態ということであればやむを得ないことです。
④アドレス時の姿勢を綺麗にする!
シャンクが出たら、まずはアドレスを見直してみましょう。
特に重心のかけ方がかかと体重になっていないか、ボールの位置が振りやすいかどうか、前傾の角度が保てているか、足の親指に力が入っているか、膝がぐらぐらしていないか、ということを改めてチェックしてみてください。
ゴルフのスイングでは、インパクトの時にアドレスを再現する、というのが基本中の基本です。そこがしっかりできるためには、まずアドレスの姿勢が正しくなければなりません。いろいろ考えてしまいがちですが、まずは基本に立ち返ってみましょう。
⑤右足のつま先を少し開いて打つ!
シャンクの大きな原因として、フェースが開いた状態でインパクトに向かっている、ということがあります。そうなる理由はいろいろありますが、応急処置として右足のつま先を少し開いて打ってみてはいかがでしょうか。
これは、スイング軌道がアウトサイドインになりすぎている人には、しっかりバックスイングがとれて有効な対処法だと思われます。アウトサイドインになりすぎる人は、バックスイングでクラブヘッドが身体の内側に入っておらず、外側から上にあがっています。
それを矯正するために、バックスイングをしやすくする目的で右足を少し引いたり、右足を少し開いて、内側にもっていきやすくしてやります。
また、ダウンスイングで右膝が前に出やすい人にも効果があります。この構えであれば、打ちにいくときに右膝が前に出にくいです。素振りだけでもいいので、一度この方法を試してみてください。
まとめ
やっかいなシャンクも、その発生する原因がわかれば対策を講じることができます。ラウンド中にシャンクが出たとしても、慌てることなく対応を考えましょう。
自分のスイングを作っていくことが、シャンクに対する根本的な治療法になります。すぐにはできなくても、すこしずつ練習を積み重ねていき、正しいスイングを身につけていくことがかえって近道なのかもしれません。
シャンクが自分のスイングづくりのきっかけになるということも、あるかもしれません。まずは、基本に戻って自分のスイングをしっかりと作っていきましょう。