2026/07/09

第4話:上司からの「ゴルフどう?」に冷や汗。そろそろ本気で動かなきゃマズイ!

月曜日の朝。営業部での2週目が始まった。少しずつ仕事の流れや新しいシステムには慣れてきたものの、私の心を常にどんよりと曇らせているのは、先週からずっと引きずっている「ゴルフ問題」だった。

オフィスの給湯室で、眠気覚ましのコーヒーをマグカップに淹れていると、後ろから「おはよう、美咲さん」と気さくな声がした。振り返ると、先週私にゴルフの宣告をした張本人、あの課長だった。

「おはようございます、課長」 「どう、ゴルフの方は? 進んでる?」

笑顔の課長。そこには嫌みも悪気も一切ない。ただの、部下に対する軽い進捗確認。だけど、今の私にとっては、心臓がバクバクと音を立てて止まるかと思うほどの強烈なプレッシャーだった。

「あ、ええ、ちょっとネットで初心者向けの情報を調べたり、同期に相談したりしてまして……!」

嘘ではない。でも、実際にゴルフクラブを触ったわけでもなければ、練習場に一歩足を踏み入れたわけでもない。ただスマホの画面を見て怯えていただけだ。そんな私の内心を見透かされたのではないかと、冷や汗がドッと吹き出す。

「お、いいねえ。まあ最初は道具とか揃えるのも大変だろうからさ、もしよかったら俺の家に余ってるクラブセット、一式あげようか? それか、今度の日曜にでも近所の打ちっぱなし連れて行ってあげようか? 基本のキくらいなら教えてあげるよ」

課長の言葉は、信じられないほど親切だった。普通なら「なんて優しい上司だろう」と感動するところかもしれない。でも、今の私にとっては「恐怖の拷問ツアー」の誘いにしか聞こえなかった。

持ち方もわからない、クイックルワイパーを握って指をつりそうにしているレベルの私を、上司が打ちっぱなしに連れていく? そこで私の運動音痴っぷりや無能っぷりが晒されたら、今後の営業としての信頼はゼロになってしまう。それだけは絶対に避けたい。

「あ、ありがとうございます……! お気持ちとっても嬉しいです! でも、本当に何も知らなすぎるので、まずは自分で少しだけ練習してみて、どうしても分からなくなったらぜひお願いさせてください!」

必死の営業スマイルでそう切り抜け、ペコリと深くお辞儀をして給湯室を飛び出した。 自席のデスクに戻ると、手汗でマウスが少し滑るのを感じた。

笑顔でごまかせるのは、きっと今週が限界だ。来週の月曜日、また同じ質問をされたときに「まだ何もしてません」とは絶対に言えない。 「そろそろ本気で動かなきゃ、本当にマズイ……」 私はお昼休み、スマホを強く握りしめ、サクラとのLINEを開いた。サクラが言ってくれた「初心者向けの場所を探そう」という言葉に、今の私はすがるしかなかった。

【プロのワンポイント解説】

上司の「教えようか?」は、あらかじめ回避して大正解!

美咲さん、上司からの親切な(でも恐ろしい)提案を、見事な営業スマイルで切り抜けましたね! 実は、この美咲さんの「まずは自分で少しやってみます」という対応は、ゴルフの観点からも100点満点の大正解です。

ゴルフは最初、本当にボールに当たらない時期があります。その不格好な姿を、まだ関係性が浅い社内の人や上司に見られるのは、誰だって恥ずかしいですし、余計なプレッシャーがかかってしまいますよね。 また、身近な人に教わると、教える側も熱が入って「違う、そうじゃない!」と厳しくなってしまい、険悪な空気になってしまうケースが実はとても多いのです。

まずは自分のペースで最低限の基本(空振りを減らす程度)を身につけてから、上司の誘いに乗る方が、精神的にもずっと楽ですし、上司側も「お、少し練習したんだな」と嬉しくなるものです。焦らず、自分のペースを守る準備をしましょう。

【まとめ】

課長からのプレッシャーをなんとか切り抜けたものの、もう時間の猶予がないことを悟った美咲。サクラのアドバイスを頼りに、美咲は自分に合った「恥をかかない、通いやすい練習場所」を必死に探し始めます。 次回、第5話「打ちっぱなしはハードル高すぎ?初心者女子に優しい場所を探してみた」に続きます!

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